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>本件では、XさんがYさんに茶碗の所有権を移転させることは不可能です。なぜなら、すでに述べたように、判例によれば、XさんまたはYさんが即時取得の要件を満たしていたとしても、茶碗の所有権はずっと被害者の下にあるからです。
>したがって、XさんはYさんへ茶碗の所有権を移転させる義務を履行することができません。これを『履行不能』といい、買主であるYさんは、契約を解除できることになっています(民法542条1項1号)。その結果、契約の当事者は、原状回復義務、つまり、契約前の状態に戻す義務を負います。売主のXさんは、代金480万円を全額、Yさんに返さなければなりません」(荒川香遥弁護士)