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2024年8月27日にソニーのPlaystation.Blogにおいて衝撃的な情報が公開されました。

すでにいろいろなメディアで記事になり、動画になっているので大半の方はご承知のことと思います。

PlayStation.Blog – 日本国内におけるPS5®および関連周辺機器の希望小売価格改定に関するお知らせ

今回の値上げは日本だけで、アメリカではずっと価格の変更などはありません。

  • 通常版 499.99ドル
  • デジタル・エディション 399.99ドル

のままです。

日本での値上げの推移は下の表の通りになります。

希望小売価格
(税込)
2024/09
希望小売価格
(税込)
2023/11
(新型 Slim)
希望小売価格
(税込)
2022/09
希望小売価格
(税込)
2020/11
PS5 通常版 79,980 66,980 60,478 54978
PS5 デジタル・エディション 72,980 59,980 49,478 43978
値上げ額 13,000 6,00
10,500
5,500
通常版
合計値上げ額
25,000 12,000 5,500
デジタル・エディション
合計値上げ額
29,000 16,000
ドル円
為替レート
145.86 151.43 143.81 105.15
通常版
為替ストレート価格($499.99)
72,929 90,856 71,904 52,470
デジタル・エディション
為替ストレート価格($399.99)
58,342 60,570 57,523 42,059

上の価格を見ると為替レートに連動していることがわかります。

ただし、発売時は税込みでほぼ為替ストレート価格になっていたのに対して、少しずつ値上げして直近で税抜き価格になったということになります。

つまり、為替の変動で価格がきれいに連動しているわけではありませんが、今回の値上げで消費税のソニー負担をやめたということです。

消費税は10%ですのでこれは大きいと思います。

 

ゲーム機ビジネスモデルの崩壊

ゲーム機は長い間本体は赤字を負うような価格で発売し、一気に売り上げ、ライバルを蹴落とし、ソフトのロイヤリティで稼ぐというビジネスモデルをとってきました。

しかし、個人売買のプラットフォームが出来上がったことやグローバル化によって転売ビジネスが出現し、そのビジネスモデルは崩壊したと思います。

残念ながら、これに対する有効な手段は特になく、日本だけを優遇すると転売ビジネスのターゲットになり、末端の消費者までいきわたらないということになります。

日本ではPS5はずっと抽選販売や先着順販売が行われ、そこに転売屋が複数アカウントで群がったことによって、PS5世代でゲーム機ビジネスは完全に崩壊したといってもよいでしょう。

 

製造プロセスの限界

PS5に使われているSoCはSlimモデルになって当初TSMC7nmからTSMC6nmになりましたが、それ以降はシュリンクされていません。

採用されているSoCについて、常にTSMCの最新プロセスが使われているiPhoneと比較してみましょう。

iPhone16(予定) iPhone15 iPhone14 iPhone13 iPhone12
2024 2023 2022 2021 2020
SoC A18 Bionic A17 Bionic A16 Bionic A15 Bionic A14 Bionic
製造プロセス TSMC N3E TSMC3nm TSMC4nm TSMC5nm TSMC5nm
PS5 SoC
製造プロセス
TSMC6nm TSMC6nm TSMC7nm TSMC7nm TSMC7nm
備考 PS5
価格改定
PS5 Slim
価格改定
PS5価格改定 PS5発売

PS5のSoCは発売当初でも決して最新ではなく、昨年のSlimですらも最新の製造プロセスは使われていないということになります。

ちなみにTSMC6nmは5nmとほぼ同時期に使われるようになった低価格帯製品向けの製造プロセスとなります。

 

利益率が低いゲーム機ビジネスの限界

上の表を見ると、すでに利益率の低いゲーム機には最新の製造プロセスを使って製品の展開する能力はないということになります。

Appleが常に最新の製造プロセスを使い続けているのとは対照的です。

SoCを一回シュリンクした時点で、TSMC5nmや4nmを使うだけの利益率がなかったのは致命的でしょう。

より進んだ製造プロセスを使うと消費電力を落としてその分価格を下げることができますが、SoC自体の価格も上がるのでしょう。

よく、製造プロセスの限界という話をされる方がいますが、製造プロセスはちゃんと進んでいますが、単にゲーム機のビジネスが最新の製造プロセスの波に乗れなかっただけです。

すでにこの時点でビジネスとしては崩壊しているのではないかと思います。

 

転売と開発費の高騰によってソフトのロイヤリティで稼ぐビジネスモデルは崩壊

ソニーが日本市場で消費税分を安くしても転売屋が転売で価格を釣り上げて本体価格を下げる意味がなくなったことに加えてソフト売り上げの低迷によってソフトのロイヤリティで稼ぐビジネスモデルも崩壊したのでしょう

特に最近のゲームでは300億円を超えるような開発費がかかるとされており、これだけの先行投資を行っても儲かるがどうかわからないギャンブルをしなくてはならないというのはすでにビジネスとして限界を迎えているといってもよいでしょう。

この波はゲーム開発スタジオを多数抱えるマイクロソフトやソニーにも押し寄せており、ゲームスタジオのレイオフなどが盛んにおこなわれています。

これらのことを考えるとすでに従来までのゲーム機のビジネスモデルは崩壊したといってもよいでしょう。

 

今後のゲーム機はどうなる?

ソニーは2025年までにゲームの半分をモバイルとPC向けに販売するとしており、ここからもPlaystation一本足打法はすでに崩壊していると判断してよいでしょう。

よくも悪くもPS5でなければならない理由というのはもうなくなっていくと思います。

モバイルでは任天堂Switchの成功によってソニー自身も携帯機に興味を示しており、また携帯ゲーミングPCの登場によって比較的安価にPCゲームをプレイできる環境がそろいつつあります。

今後は性能が上がっているSoCを使った安価なPCゲーミングがはやる一方でゲーム機もモバイル化が進むと思われます。

それによって、高性能化しているゲーム機は一定スペックが落ち着くことになるでしょう。

Switchの性能が大したことがないのを見れはわかると思います。

最新の技術を使った美麗なグラフィックのゲームというのは安価なゲーム機では体験できなくなっていくということです。

あこがれからコモディティへ。

これが今後のゲーム機になると思います。

いいかえれば最新の技術に背を向けいかに安価に大量に安定的に提供できるかがゲーム機ビジネスの重要なポイントになると思います。

 

 

AI PCとゲームへの影響

現在ゲーム機は比較的安価にRadeonを提供しているAMD製を採用しています。

しかし、DLSSをはじめとしたアップスケーラーはNVIDIAがかなり先行しており、AMD以下二番手以降は2年ほど技術的に遅れています。

※ AIベースのフレーム生成の実装タイミングによります。

RTX5000=Blackwellで実装される技術にもよりますが、今後NVIDIA製のGPUとそれ以外のGPUではAI技術の性能差によって2-5倍程度の差が付く可能性があり、NVIDIA製GPUを搭載したSoCの採用が進むかもしれません。

そうならないようにAMD、Intelともに何とかキャッチアップしていっていただきたいところです。

 

 

 

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