ジャトロン・コモリミス事務局長インタビュー
---バンコク国際モーターショーは東南アジア最大のモーターショーとして定着し、今回で45回目を迎えますが、大きく様相が変わったように見受けられます。
中国、それにベトナムから新しい自動車メーカーが出展しました。これによって様相が変わったように見受けられたのでしょう。中国メーカーというと、以前は品質面での問題が指摘されるなどしていましたが、最近では品質も急速に向上しています。
---初出展した中国メーカーの中には、タイで販売できない左ハンドル車だけを展示していて本気度が疑われる部分もありました。
タイ政府が電動化政策を積極的に推進しているこから、それに合わせて中国メーカーがBEVの実績を積むべくタイに工場を設置する前提であれば、BEVの完成車の輸入関税が免除されるなどの特典があるので、それを得るために急いで出品した側面もあると思います。来年はさらに4ブランドから出展の申し込みがあります。さらに様相が変わるでしょう。
---今回新しいホールを開設するなど、バンコク国際モーターショーは成長を続けていますね。
世界のモーターショーの中で、唯一クルマを販売するショーという特徴を持っています。これが成長を支える要素と考えています。昨年はショー会場で4万5983台の受注がありましたが、今年は受注台数が10%~12%増加するものと見込んでいます。
新ホールを開設
今回のバンコク国際モーターショーでは、隣接して一体化されている建物の中に、ホール4という新しいホールが新設された。中国ベトナムから新メーカーが参入するなどした結果、従来の会場では手狭になってきたことから、スペースの拡大を図ったものだ。
新しいホール4には自動車部品や自動車用品会社の展示が集められたほか、今回は特別にスーパーカーが展示されていた。展示されたスーパーカーの中には、フェラーリやランボルギーニと並んでGT-Rもあった。
来年はさらに新しい自動車メーカーの出展が見込まれているとのことで、新しいホールと合わせて展示スペースの大幅な見直しが行われることになりそうだ。
160万人の入場と6万台近い受注
バンコク国際モーターショーが閉幕した後、事務局からショーに結果に関するリリースが送られてきた。それによると期間中の総来場者数は161万972人に達したとのことで、相変わらず東南アジア最大の動員力を持つショーであることを示した。
来場者には抽選でクルマ2台が当たるが、161万人が来場したとなると、当選確率は相当に低いものにならざるを得ない。
報告を見て驚いたのは受注台数で、乗用車が5万3438台、バイクが5173台に達したという。合計すると前年比27.5%増の5万8611台であり、今回のバンコク国際モーターショーはタイの自動車需要を大きく刺激するものになった。
受注の中に予約のようなものから正式な契約までいろいろな形のものが混じっているようだし、すでに予約されているものを会場で受注した形にして成績を上げるケースもあるようだが、だとしても凄い数字であるのは間違いない。
注目されるのはBEVの売れ行きで、欧米メーカーに加えて中国メーカーが大きく田を伸ばしたことから、1万7517台にまで増加しという。これは前年比89.7%増という大幅な伸びであり、受注全体の約3分の1となる32.78%を占めた。内燃機関を使用する車両は依然として多く、3万5921台を受注しているが、電動化の流れがどこまで早まっていくか注目される。
なお、ブランド別の受注台数は以下の通り。上位10ブランド中、半数は日系、もう半分は中国系となった。
トヨタ(8,540台)、BYD(5,345台)、ホンダ(4,607台)、上海汽車のMG(3,518台)、三菱自動車(3,409台)、長安汽車(3,073台)、広州汽車のAION(3,018台)、長城汽車のGWM(2,815台)、いすゞ(2,734台)、日産(2,488台)、マツダ(2,292台)、メルセデス・ベンツ(1,642台)、合衆新能源汽車のNETA(1,618台)、スズキ(1,608台)、フォード(1,469台)、起亜(1,151台)、現代(1,080台)、BMW(1,001台)