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外国籍の人も公務員に――。外国人が住民の約2割を占める群馬県大泉町は、2024年度実施の町職員採用試験の受験資格から国籍条項を撤廃する。群馬県も知事部局全ての職種で国籍条項の撤廃を22年に表明したが、実施時期は未定で足踏みしている。北関東や先行した自治体などの状況はどうか。

 一般事務などすべての職種の試験で外国籍の人も受験できるようにするのは、群馬県内では大泉町が初めて。

 「うれしいニュースだ。外国籍の人には大きなモチベーションになる。頑張れば就きたい仕事に就ける。夢を持たせてくれる」。太田市で広告会社を経営する日系3世のブラジル人平野勇パウロさん(45)は大泉町の取り組みを歓迎する。

 サンパウロ州で生まれ、10歳で来日し、大泉町の小、中学校で学んだ。娘が高校生で将来を考える時期だ。「外国籍だとなれない職業がある。公務員にもなれるなら『頑張ってみよう』という子どもも出てくるだろう。採用されれば優秀な人が町に定着していく。町が受け入れる姿勢をみせたことは、大きな信頼につながっていく」

 ただ採用後、外国籍の職員は課長職以上の管理職には就けず、徴税など公権力を行使する職にも就けないなどの制約がある。

 外国籍職員の採用に慎重な自治体は多い。

 外国人も多い太田市の清水聖義市長は「日本国籍をとってから受験してもらうのがいい」とし、国籍条項の撤廃は考えていない。

 「同じ試験を受けて入ってから、管理職にはしない、この部署にはいかせないというのはいかがなものか」。一方で、公権力の行使に当たらない公園管理などの職種は「国籍条項を撤廃していい」とも話す。

 周辺の桐生、みどり、館林の各市長も国籍条項の撤廃には慎重な考えだ。

 群馬県は22年に国籍条項の撤廃を表明後、県民から慎重な意見などがあり、23年度の実施は見送った。

 山本一太知事は1月18日の記者会見で大泉町の方針を「高く評価する」と賛同。県職員の採用では慎重な意見を踏まえた上で「多文化共生社会を目指す県としては必要なことだと思う。実現に向けて努力していきたい」とした。

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 文化交流都市を掲げる茨城県笠間市は2023年度の職員採用試験(消防職と専門職を除く)から国籍条項を撤廃し、外国籍の人も受験できるようにした。これとは別に、外国籍の人を対象にした「事務職 グローバル枠」の採用試験も始め、ウクライナ人女性(22)が合格。4月に正職員として採用される予定だ。

 茨城県牛久市は、国籍条項を撤廃し、12年にイタリア人の男性を職員として採用したことがある。ただ、それ以降は採用されたケースがないという。茨城県つくば市も1998年度実施の採用試験から国籍条項を撤廃しているが、外国籍の人が合格した例はないという。

 茨城県は、職員採用試験で行政職など36職種の受験資格に日本国籍が必要とする。「現段階で撤廃する予定はない」という。

 栃木県は、保健師や栄養士など25職種は外国籍の人も受験できるが、行政職など27職種は日本国籍が必要だ。「行政職は公権力の行使が多い」からだという。

 栃木県内で人口に占める外国人の割合が高い真岡、小山、足利の3市は、各市とも職員採用試験には日本国籍が必要で、外国籍の人は受験できない。

 埼玉県は、保健師や保育士など47職種は国籍を問わず受験できるが、行政や土木、建築など27職種は日本国籍がないと受験できない。さいたま市は、消防及び救急救命士を除く全ての職種で04年度実施の試験から国籍条項を撤廃した。建築と看護職で外国籍の2人を採用した実績があるという。(柳沼広幸)

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 〈外国人の地方公務員任用〉 「公権力の行使」または「公の意思の形成への参画」に携わる公務員は日本国籍を必要とする。それ以外の公務員は、地方自治体の判断で外国籍の人も任用できる。1996年に白川勝彦自治大臣(当時)が談話を出した。談話では「外国人の採用機会の拡大」の努力も求めた。

 川崎市は96年度の採用試験から原則として国籍条項を撤廃(消防を除く)。外国籍の職員は25人(2023年4月)。外国籍では就けない「公権力の行使」の職として市税の滞納処分、開発行為の規制、食品衛生の監視などを明示。「公の意思形成」に関わるライン以外であれば、課長級以上にも昇任できる。外国籍でも全体の8割の職務に就けるという。

引用元 https://www.asahi.com/articles/ASS2B6WS8S21UHNB00L.html

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