日本と韓国に住んでわかったこと
[現代ビジネス] 私が今年初め療養滞在目的で日本に来た時、驚いたのは私より年配の者たちがどこでも多く働いていることだった。福岡で一度、接待を受けて夜の酒場で飲んだ時も、3件訪ねた店の男性店員はいずれも私より年配だった。今も日本で暮らしているが、どこに行っても年配者の働き手が目につく。そんな話を韓国人のカミさんにすると「年配者たちの働き口の多いことに驚く。韓国では60歳を超えてからの就職は本当に難しい」と話す。 私も高齢者の仲間入りになりつつあるが、働き口に関して日本は韓国に比べて多いと実感している。韓国メディアの中央日報は先日、『韓国、60歳以上「シルバー労働者」比重急増…最も老いた日本も上回る』という記事を報じていた。記事によると、韓国の統計によると全体就業者2840万人のうち60歳以上は637万人で、22.4%。一方で日本の統計を見ると60歳以上の就業者の比率が22.1%(6726万人中1488万人)と若干韓国より低いというのだ。 確かに数字としてはそうなのかもしれないが、その働く「環境」は違うように感じる。日本で数ヶ月暮らしていると高齢者が仕事に就くのに、韓国に比べて余裕があるように思うのだ。 韓国、ソウルでは65歳以上を対象に高齢者向け無料乗車制度というものがある。そこで生まれた仕事の一つが「シルバー・デリバリー」というものだ。私も小包の配送で何度か利用したことがある。 電話をすると最寄駅もしくは自宅まで取りに来てくれるし、数時間で先方に届き、急ぎの場合は本当に便利だ。料金もソウル市内であれば私の場合1500円以内で収まっていた。これをバイク便に頼むと2000円ほどするうえ、お年寄りの助けになっていると思えば高い送料ではない様に思える。
「漢江の奇跡」のウラで…
「シルバー・デリバリー」の平均的収入は5万~8万円と言われているが、私が何度か頼んだ高齢者は月15万円以上頑張って稼いでいると話していた。また、ランチの時間帯で3~4時間ほどのビラ配りも高齢者が簡単にできる仕事の一つだ。ビラ配りは女性の高齢者が多く、1回配ると4000~6000円を受け取るという。 また、ソウルには多くの靴磨きの店がある。市が職の斡旋の一環で設置しているものがあり、こういった場所でも働く高齢者も多い。靴磨き、修理のほかに、カギや印鑑まで作れてしまう店もある。 靴磨き店は私の住むカンナムの大通りには1キロに2件ほどの間隔であったりするが、前を通ると依頼された靴が外にまで置かれてたりと繁盛しているように思える。この靴磨きを極めて、年に1000万円も稼いだと報じられた強者もいるくらいだ。 カンナムに住んでいると高齢者のフリーランス的な営業職もよく見かける。カンナムのカフェで店にいる高齢者は、不動産会社、保険、証券会社等の営業マンの場合が多い。いつも電話で説得トークが飛び交っているからわかるのだ。 日本では昨今、働き方改革が進み、時間的余裕が増え始めている。我々の頃はがむしゃらに働きながらも「人より金持ちになりたければ人が遊んでいる時に働け」と言われ、結果、休む間も無く四六時中働くことが普通だった。 韓国でも70~80年代の「漢江の奇跡」と呼ばれる発展期にがむしゃらに働いた者たちが高齢化しているのだが、日本と共通しているのは、この世代は死ぬまで働いても苦でない人が多いということなのかもしれない。
いざ退職すると、どうなる…?
もちろん悠々自適な暮らしも良いが、いざその時になったら時間の使い方に戸惑っている人も少なくない。日本でも90年代に退職後の趣味のない生活が味気ないと話題になったりもしたが、韓国のここ5年がまさにそんな感じなのだ。 高学歴を取得するため、大企業に入るため、人生の大半の時間を費やした韓国人も、退職していざ時間が出来ると持て余してしまうのだ。 韓国の友人がしている「あなたをプロディース」というサービスがあり、「中の上」クラス以上の人たち向けにコンサルをしている。 生活スタイルを総合的にアドバイスすることでその人になかった価値観を与えて人気が出ているが、今の若者からすれば「そんな仕事だけの人生はお断りだ」と言われそうだ。私の周りのサラリーマンだった諸先輩も若いうちから人生設計をしっかり考えて、老後を悠々自適に過ごす御仁は少ない。 私の場合、人生のほとんどを自営業で生きているから、最初から老後と概念がない。我々世代は少なくとも色んな事情があるにしても死ぬまで働く事に違和感なく受け入れている者が多いと思える。それが高度成長期を支えてきたその親の背中を見てきた我々世代までが持っている“おかしな”価値観かも知れない。 私も日本での老後を迎えようと、この4月から準備をしている。そのきっかけはやはり韓国の総選挙での結果が大きいところだが、今はその決心をして良かったと思う。
日本は恵まれすぎている
日本なら、もしいまの職を無くしても他で働けるが、韓国では高齢者が働くこと自体が難しいのだ。先日も不動産屋の担当女性に「いざとなったら日本では働いて生計が立てられるから安心な国」と話したら、驚いていた。 海外をあまり知らないと日本の日常が世界基準と思っている様だが、日本ほど恵まれた国はそんなに多くないのだ。 そんなことを総合的に考えてみると、老後は日本で働くほうが気が楽である。私に悠々自適という言葉は無縁だからストレスのない働き方を選べば日本になる。 さらに連載記事『韓国が「日本を超えた」「先進国になった」のウラで、じつは日本が「圧勝」していた…! 「在日3世」の私が直面した日韓の「決定的な差」では、いま韓国で起きている“もう一つの異変”についてレポートしよう。
豊 璋(在韓国コンサルタント)
引用元 https://news.yahoo.co.jp/articles/6ab5597c3dd56bf73729cf22925b58215fd2cfd4?page=1
みんなのコメント
- そういう問題よりも、今の北朝鮮の動きを見ていると、ロシアや中国に促されて南下してくる可能性も出て来ている現在、韓国在住の危険性が高まってきている。 日本も他人事ではないにしろ、陸続きの韓国よりははるかにマシ。 老後働き口があるかとか物価高とかの心配よりも、もし他国に移住できる方法を持っているのなら韓国を離れることを考える人もいるのは当然。香港のように。
- ほんとにまじめに働いてくれるならウィンウィン。 ただ高齢者が体壊して働けなくなると生活保護が増えていくんだよなあ。そこで強制送還なんてもちろんできない。一度生活保護もらうと高齢者が再度働く気力は出ないと思う。来日勘弁とかではなく生活保護のあり方をしっかり国で議論もっとしてほしい
- 問題なのは、今、日本の1990年代後半くらいの高齢者比率なのが、10年程で日本の高齢者比率に追い付くこと。 日本の2〜3倍のスピードで高齢化している。 その国で高齢者の仕事がどれだけ確保されるのか疑問ですね。 シルバーパスだって、日本と同じようにいずれ廃止されるでしょう。
- 別に老後じゃなくても、住むなら日本の方がいい。 今の韓国を見てると法もモラルも機能してなくて、いつ何が起きるか、いつ何に巻き込まれるかという不安が常に付き纏うような気がする。 犯罪者でも国会議員や大統領候補になれるくらいだから、法やモラルを一切無視してやりたい放題したい人にとっては天国なのかもしれないが…
- 日本人として生まれたら、日本で老後を暮らし、韓国人として生まれたら、韓国で老後を暮らす。 それが人間として、当たり前の暮らしだと思います。 日本の方が暮らしやすいから日本に移住するのは、間違っていると思います。 日本が暮らしにくくなったら、今度はアメリカに移住するのですか?
- 日本も60歳以上での正社員として就職出来るのは 極僅か。それ以外は殆どがバイトですよ。 ところで文君により漢江の奇跡は削除されたはずですが? この60歳以上の人は奇跡ではなく日本のおかげということも 知らされていないのだろうな?
- 韓国は年金もスズメの涙程度らしいし貯金もそんなにないでしょう。 定年も日本より韓国のほうが早ければ40代で定年だしそこから自営業やバイトにシフトするから大変だと思う。 けど日本は来ないでほしい。
- 日本は老人優遇の国だからね。 韓国はホワイトカラーは40代で定年、老後を悠々自適に暮らせる制度が無く生まれてから定年までずっと競争、家が金持ちか競走に勝てないと老後は悲惨。 国際的な老人ホームか姥捨山になる未来もありそうだね日本。
- 高齢者が働くのを良い事みたいに美化するのはダメだろう。 老後も「働きたい」「働くしかない」ってのはまったく意味が違うってのは理解しないといけない
The post 【在日韓国人】『老後は日本で暮らすほうが100倍いい』その“意外なワケ”とは? first appeared on jnnavi.