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ARMとクアルコムのチップライセンス条件をめぐる長期にわたる訴訟は、事態が悪化した場合、AI PC業界およびSnapdragon X CPUファミリーに壊滅的な影響を及ぼす可能性がある。

AI PC業界、クアルコムとARMの訴訟で最初の壁が立ちはだかるか?

クアルコムのSnapdragon CPUの存続が危機に瀕している可能性があることから、急成長しているAI PC市場が障害にぶつかっている可能性がある。

数日前、Reutersの報道によると、Microsoft、Acer、ASUSといった大手システムインテグレーターがクアルコムのクリスチャン・エイモンCEOと面会し、2年以上前から続いているARMとクアルコムの訴訟について話し合ったことが明らかになった。訴訟の結論はまだ出ていませんが、もしARMが勝訴すれば、クアルコムのCPUは市場で大きな問題になるかもしれません。

この問題に踏み込む前に、クアルコムとARMの訴訟について見てみよう。

この訴訟は2022年に始まった。クアルコムが業務用製品のチップ・ライセンスをベースとする新興企業Nuviaを買収した後、ARMがクアルコムをチップ・ライセンス契約違反で訴えたのだ。

クアルコムはNuviaの技術を利用して最新のノートPC用プロセッサを開発した。

ARM社は、これは契約違反であり、両社は契約条件の見直しについて再交渉すべきであると考えている。

クアルコムは、両社の契約はすでにラップトップ・プロセッサーのライセンス供与をカバーしていると述べている。

ARMが勝訴した場合、クアルコムのSnapdragon X Elite SKUの販売が停止される可能性があり、すでに新しいプロセッサのラインナップを発表し、ARMが大規模な採用を行っている多くのシステムインテグレータに影響を与える可能性があるためだ。

また、製品のコールバックやその他いくつかの問題につながり、クアルコムに「ドミノ」効果をもたらす可能性もある。

しかし、ARMとクアルコムが合意することで、このような事態を回避できる可能性もあるため、まだ結論を急がないようにしよう。

クアルコムとARMの係争は、メーカーにとって最大の関心事であったと言われている。

これを踏まえ、各社は現在、市場向けにNVIDIAとMediaTekのAI PCチップ・ソリューションに傾倒しており、マイクロソフトなどが即座に採用を予定している。

事態の推移を見守る必要がありそうだ。

ソース:wccftech – Qualcomm-ARM Chip Licensing Dispute Might Put The Future of Snapdragon X CPUs At Stake

 

 

 

 

解説:

さて、クアルコムがARMとライセンストラブル

クアルコムのSnapdragon XシリーズはもともとはGoogleとAppleのチップ設計者が抜けて作ったNUVIAという会社が設計したものです。

このNUVIAをクアルコムが買収してSnapdragon Xシリーズは生まれました。

NUVIAはその設立の経緯から「CPU界のドリームチーム」と呼ばれていました。

Snapdragon XシリーズにはOryonというArmのIPを利用しない独自開発のArmが使われていますが、これが問題になっているようですね。

このライセンストラブルを嫌って各社ともNVIDIAやMediatekのARM SoCに注目しているようです。

MSなどはすでに採用しているとのことですから、早ければ来年のSurfaceはNVIDIA製のSoCが搭載されるのかもしれません。

AMDのSoundWaveもこのトラブルを聞きつけて設計しているのかもしれませんね。

NVIDIAはMediatekと協業していますが、CPUの部分はMediatekが担当するのですかね。

一応Graceはありますが、あれはサーバー向けのCPUなので、NVIDIAが一から設計しなおすよりMediatekと協業したほうが良いと判断したならそうなるかもしれません。

Mediatek最新のSoC、Dimensity 9300+はオールビッグコアでOryonと同じです。

中国のTitaniumのスマホvivo X100sにすでに搭載されています。

Geekbench6のスコアはSingle2287/Multi7880です。

Snapdragon X EliteはSingle2452/Multi14715ですから、スマホとノートPC向けということを考えるともっと発熱は許されると思いますので、なかなかいい線を行くのではないかと思います。

ARM勢も何かゴタゴタしてきています。

来年以降、様々なメーカーが群雄割拠する状態になるかもしれません。

ARM向けWindowsはMacでいえばRosettaのような仕組みであるPrismエミュレーターが搭載されており、これがx86-64の最大2倍の速度で動作するとされています。

2倍というのは最大瞬間風速の話なのでしょうが、最大で2倍ならば平均すると等速くらいで動くことは期待できるのではないかと思います。

ARM向けwindowsはこのPrismが優秀なことが最大のセールスポイントではないかと思います。

Copilot+やAI PCが前面に出ていますが、やはり一番使い勝手を左右するのは動作速度やレスポンスだと思います。

モバイルであることを逃げ道にここが快適でないと台無しですからね。

Samsung、UNISOC、Mediatek、AMDなどARM CPUを作っている(設計できる)メーカーは多数ありますので、Windows版ARMで様々なメーカーにPCの門戸が開放されるのは喜ばしいことだと思います。

 

 

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