難民申請が認められずに国から強制送還を通告されたインド国籍の男性クマールさん(51)=茨城県在住=が、国に在留資格の不許可処分の撤回を求めた訴訟の控訴審判決で、東京高裁(筒井健夫裁判長)は10日、一審東京地裁判決を支持して請求を退けた。原告側は上告を検討している。
◆高裁は一審判決を支持、男性は上告を検討
クマールさんは在留資格を持つ妻と次男、日本国籍の長男と暮らす。
控訴審でクマールさんは、国の決定は家族が一緒に暮らす権利の尊重を定めた国際条約に反すると主張。しかし、筒井裁判長は条約に反するかの判断は示さず、「家族関係は原告が超過滞在(オーバーステイ)になってから築かれた」として権利保護の必要性を認めなかった一審判決を支持した。
クマールさんは昨年、出入国在留管理庁からインドに送還すると通告された。判決後の取材に「自分がいなくなれば家族はどうなるか。家族がばらばらになれば子どもたちの心も傷つきうまく成長できなくなる」と肩を落とした。
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