以下の文章は、電子フロンティア財団の「Biden Signed the TikTok Ban. What’s Next for TikTok Users?」という記事を翻訳したものである。
議員たちは1カ月のうちに、米国内でTikTokを事実上禁止する法案を駆け足で可決し、最終的にバイデン大統領が署名した外国支援パッケージに盛り込んだ。この法律の影響はまだ完全には明らかではないが、TikTokが禁止されるか新しいオーナーに売却されるかに関わらず、数百万の米国ユーザが、現在のように情報を得たり互いにコミュニケーションすることができなくなるのは確かだ。
今後の展開は?
現時点では、TikTokは「禁止」されていない。法律では、ByteDanceに270日の猶予期間を与えており、禁止が発効するのは2025年1月19日になる。その間に、裁判所がこの法案を違憲であると判断すると我々は予想している。まだ訴訟は起こされていないが、TikTok自身による訴訟は時間の問題だろう(訳注:2024年5月8にByteDanceは米政府を提訴した)。
考えられる結果は3つある。法律があるべき通りに覆されれば、何も変わらない。ByteDanceがTikTokを売却して撤退した場合は、プラットフォームは依然として利用できるだろう。しかし、新オーナーがアプリの機能、アルゴリズム、その他を変更するかどうかは分からない。他のプラットフォームで見られたように、オーナーが変われば大きな変化がもたされることもあり、予期せぬ形でユーザに影響するかもしれない。実際、売却を強制する理由の1つは、TikTokが中国のプロパガンダや誤情報に関して、ユーザに異なるコンテンツを提供するようにすることだ。米国市民には外国のプロパガンダを受け取る修正第1条の権利があるという、ほぼ60年間にわたる確立された法律があるにもかかわらず。
最後に、ByteDanceが売却を拒否した場合、米国のユーザは2025年1月19日の期限までに、アプリストアからTikTokが消滅するのを目にすることになるだろう。
禁止措置はどのように実施されるのか?
この法律は、マーケットプレイスを通じてTikTokの配布、メンテナンス、更新のためのサービスを提供する仲介者、またはアプリの配布、メンテナンス、更新を可能にするインターネットホスティングサービスを提供する仲介者の責任を制限する。また、この法律は仲介者にその実施の責任も負わせている。
この法律は、「外国の敵対勢力が支配するアプリケーション」を使用するユーザ個人に法執行する権限を司法長官に明示的に与えていないため、ユーザ自身がアクセスできる場合、アプリケーションの使用を継続しても責任を問われることはない。
ByteDanceが売却しない場合、TikTokをダウンロードしたり使用したりできるのか?
一部の米国ユーザは禁止を回避する方法を見つけるかもしれない。しかし、大多数のユーザはそうではないため、プラットフォームのユーザベースとコンテンツは大きく変化するだろう。ByteDance自身がアプリの配布を支援すれば法的責任を問われかねず、米国のユーザが引き続きプラットフォームを利用できたとしても、米国でのアプリのモデレーションと運営には影響が出るだろう。結論として、1月19日以降しばらくの間はアプリを利用できるかもしれないが、米国では同じプラットフォームとして、あるいは機能するものとして長く存続するとは考えにくい。
これまで米国は、世界的な情報の自由な流通を民主主義の基本原則として支持し、他国がインターネットへのアクセスを遮断したり、ソーシャルメディアアプリなどのオンラインコミュニケーションツールを禁止したりした際には、それを非民主的だと批判してきた。今回の法律制定は、この長年の民主主義の原則を損なうものとなった。また、他国がインターネットへのアクセスを遮断したり、ソーシャルメディアアプリやその他のオンラインコミュニケーションツールを禁止したりした際に、米国政府がそれを批判する道義的権威を損なうものともなった。
議員らがTikTokを禁止する理由として次の2点を挙げる。1つは、アプリのコンテンツの種類を変更すること。これは明らかに修正第1条違反だ。もう1つは、データプライバシーの保護だ。我々の議員はデータプライバシーの保護にもっと努力すべきだが、この法律のアプローチは完全に間違っている。企業の拠点がどこにあるかに関係なく、膨大かつ詳細な個人データを収集し、データブローカー、米国政府機関、さらには外国の敵対勢力にまで渡ることを防がなくてはならない。包括的消費者データプライバシー法を制定することで、コントロールできないプライバシー侵害という真の問題を解決しなければならないのである。にもかかわらず、我々の政府は、いつものごとく、極度に過剰であると同時に、国民が本当に必要とするものを提供できてはいない。
Biden Signed the TikTok Ban. What’s Next for TikTok Users? | Electronic Frontier Foundation
Author: Jason Kelly and Brendan Gilligan / EFF (CC BY 3.0 US)
Publication Date: May 2, 2024
Translation: heatwave_p2p
The post 米国Tiktok禁止法成立で今後どうなる? first appeared on p2ptk[.]org.