『アミ 小さな 宇宙人』は、その独特な宇宙観とメッセージ性から、読む人の心に強く残る児童文学です。
しかし、内容の深さと説教的なトーンが一部の読者に「気持ち悪い」「洗脳されそう」「宗教的すぎる」という印象を与えてしまうこともあるようです。
なぜこのような印象が生まれるのか、深掘りしてみましょう。
アミ 小さな 宇宙人が気持ち悪いと誤解される理由を考察
『アミ 小さな 宇宙人』には、読者によって受け取り方が大きく異なる部分が多くあります。
物語の中で語られる「愛」や「宇宙の基本法」といったテーマは、普遍的なものですが、アミの語り口や物語の進行方法により、ある種の「押し付け」を感じる人もいるかもしれません。
説教じみたトーンのため
アミというキャラクターは、物語の中でペドゥリートに宇宙の真理を教える役割を持っています。
アミの口からは、愛と平和の重要性、そして人類の未来について語られるシーンが頻繁に描かれます。
このようなアミの発言には、時に読者に「説教を受けているようだ」と感じさせる部分があるのかもしれません。
アミが「愛がなければ、何も意味を成さない」と繰り返し説く場面などでは、アミの一方的な語りが目立ちます。
この「一方通行」な語り口は、物語の中でペドゥリートがほとんど反論せず、ただ聞き入れる姿勢を取るため、読者に押し付けられているような感覚を与える可能性があります。
また、アミはあらゆるテーマについて「正解」を知っているかのように語ります。
これにより、読者は物語の流れに入り込みにくく、「気持ち悪い」という感情を抱くことがあるのではないでしょうか。
キャラクター設定が不自然であるため
アミのキャラクター自体が、読者にとって不自然さを感じさせる要因かもしれません。
見た目は子供のようでありながら、宇宙の知識を持ち、人生や社会の問題に関しても大人顔負けの深い洞察を見せるアミ。
この設定により、読者は物語の中でアミとペドゥリートの会話に違和感を感じるかもしれません。
アミが「人類の未来」について話し始めると、突然その話が深刻で大人向けの内容にシフトすることがあります。
このようなキャラクターのギャップが、読者に「この子供のような宇宙人は一体何者なのか?」という不信感を抱かせてしまう可能性もあるのです。
ペドゥリートの視点では、アミとの対話は常にアミの一方的な教えを聞く形で進みます。
ペドゥリートが疑問を持っても、それに対する答えは常にアミが提示し、最終的にはアミの「正しさ」を受け入れる流れになっています。
このような関係性が、物語を楽しむための一つの壁になっているのではないかと思われます。
洗脳される?宗教的なニュアンスが強く感じられるため
アミの言葉や行動は、宗教的な教えに似た要素を持っています。
「愛の大切さ」や「宇宙の秩序」といったテーマは、宗教的な教義やメッセージに共通する部分があります。
アミが地球や宇宙の秩序について語る場面では、「信じる者こそが救われる」といったニュアンスが漂うことがあります。
これにより、特に宗教に敏感な読者や、過去に宗教的な経験を持つ読者は、「洗脳されるのでは?」といった不安を感じる可能性が考えられます。
アミは、愛を持たない人々が進化できないと断言します。
こうした発言は、一部の読者に「何かを信じることを強要されている」と感じさせる要素になるかもしれません。
さらに、物語の進行自体が、アミの言葉に従う形で展開していくため、読者は「自分の意見が否定されているのでは?」と感じることもあるのではないでしょうか。
アミ 小さな 宇宙人は実話ではない!
『アミ 小さな 宇宙人』は、作家エンリケ・バリオスさんによるフィクション作品です。
しかし、その内容のリアルさやメッセージ性の強さから、「実話ではないか」と考える人もいます。
アミとペドゥリートの対話は、現実世界の課題や社会問題に対する深い洞察を持っており、それが実際の出来事に基づいているかのように思わせる要因となっているようです。
実際には、著者のバリオスさんがこの物語を通じて、愛と平和の重要性を伝えようとしているのです。
アミ 小さな 宇宙人についておさらい
『アミ 小さな 宇宙人』は、1986年にエンリケ・バリオスさんによって初版が発行されました。
その後、11か国語に翻訳され、多くの国で読まれることになりました。
日本語版は1995年に徳間書店から刊行され、2000年には改訂版が発行されています。
挿絵を担当したのはさくらももこさんで、そのユニークなイラストが物語の魅力をさらに引き立てています。
シリーズには続編や関連書籍もあり、特に宇宙やスピリチュアルなテーマに興味を持つ読者には広く受け入れられています。
『アミ 小さな宇宙人』のキャラクターまとめ
ここからは主要キャラクターをおさらいします。
ペドゥリート
地球人の少年で、愛称はペドロ。物語の主人公であり、10歳(後の続編では12歳)です。
彼は祖母とのバカンス中にアミと出会い、UFOに乗って宇宙を旅しながら「宇宙の基本法」を学びます。
惑星キアの少女ビンカとは「双子の魂」であり、物語の中で再会し、アミの助けを借りて一緒に暮らすようになります。
アミ
地球よりもはるかに進歩した星からやってきた宇宙人。
見た目は8歳ほどですが、実際には年齢不詳。
愛称の「アミーゴ」(友人の意味)の通り、親しみやすい性格ですが、時に皮肉や厳しい言葉を使ってペドゥリートに「宇宙の基本法」を教えます。
肉食を嫌い、地球の進歩を助けるために現れます。
ペドゥリートのおばちゃん(リリー)
ペドゥリートの祖母で、夏休みに温泉地の近くに家を借りて過ごします。
物語の途中で惑星キアの老人クラトと意気投合し、彼と共に暮らすことになります。
ビクトル
ペドゥリートのいとこで、30歳を少し過ぎた銀行員。
ペドゥリートの体験談を基に、『アミ 小さな宇宙人』とその続編をタイプライターで記録した人物。
ペドゥリートの話を信じてはいないが、物語の成功を受けて、自分も宇宙を舞台にした作品を考えるようになります。
ビンカ
惑星キアの少女で、見た目はペドゥリートと同年代ですが、キアの公転周期の違いから年齢は215歳とされています。
ペドゥリートと「双子の魂」であり、一度別れた後に再会します。
その後、彼女は「ナデア・ポペスク」という名前で地球に住むことになります。
クラト
キア星の老人で、元軍のスパイ。食欲が旺盛で、物事に対して非常に楽観的な性格を持っています。
ペドゥリートのおばちゃんと意気投合し、地球で共に暮らすことを選びます。
アミのママとパパ
アミの両親で、見た目も個性的です。
ママは「笑顔が可愛い女の子」のように見え、パパは「青い頭で髪の毛がない」という特徴を持ち、科学者です。
ペドゥリートとビンカに「宇宙の基本法」を教える役割を担っています。
ペルリータ
絵本『アミが来た』の主人公で、ネコのコポを飼っている女の子。
星を自分のものにしたいという夢を持っており、アミとの出会いを通じてその夢を胸に刻みます。
アミとの出会いを通して、愛の力で世界が変わることに気づき、嫌いだった学校に行けるようになります。
各キャラクターは、物語のテーマである「愛」や「宇宙の基本法」を通じて、それぞれの役割を持って物語を進めていきます。
これらの登場人物たちの個性や関係性が、物語に深みを与えていますね。
アミ 小さな 宇宙人が向いている人
この作品は、以下のような読者に特に向いていると言えるでしょう。
- スピリチュアルや哲学的なテーマに関心がある人
- 子供向けの物語を通じて、深いメッセージや人生観を考えたい大人
- 愛や平和の理念について、異なる視点から学びたい人
逆に、物語の中の強いメッセージ性やアミの語り口に違和感を覚える人には、少し読むのが難しいかもしれません。
『アミ 小さな 宇宙人』が「気持ち悪い」と感じられるのは、物語の中で強調される説教的なトーンや、キャラクターの不自然な設定、さらには宗教的なニュアンスが強く感じられるからかもしれません。
しかし、その一方で、この物語が持つ深いメッセージ性や哲学的な内容は、多くの読者にとって非常に価値のあるものであり、読む人によっては感動を与える作品であることも事実です。
誰が読んでも同じ印象を持つことはないでしょうが、それこそが『アミ 小さな 宇宙人』の魅力でもあるのだと思います。