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以下の文章は、Access Nowの「Apple must restore VPNs in Russia now」という記事を翻訳したものである。

Access Now

Appleはロシアの人々や市民社会に背を向けてはならない。Access Nowと40を超えるロシア国内外の市民社会団体や専門家は、Appleに対し、ロシアの権威主義体制による言論弾圧への加担をやめ、同国のApp Storeでブロックされたすべての仮想プライベートネットワーク(VPN)サービスを復活させるよう要求する

2024年7月4日、Appleは同国の検閲機関であるロスコムナゾールの要求に応じ、ロシアのApp Storeから複数の人気VPNアプリを削除した。この決定は国際社会に衝撃を与えた。

ロシアで人権のために声を上げる人々、市民社会からジャーナリストに至るまで、VPNはまさに命綱となっている。VPNがなければ、同国にオープンなインターネットは存在しえない。Appleはロスコムナゾールが引いたラインに従うことで、ロシアの人々を無制限の国家監視とデジタル独裁に追い込んでいる。Appleは事実上、VPNブロックによってロシアをグローバルな民主的インターネットから遮断したのだ。

アナスタシア・ジルモント – Access Now 東欧・中央アジアポリシーマネージャー

Appleのロシア当局への屈服は、同社が自ら定めたポリシーにも国際人権基準にも反する。さらに、Appleのこの軽率な判断は、ロシア当局の度重なる妨害にもかかわらず、開かれた安全なインターネットのために奮闘してきた頑強なVPNサービスを危機に陥れた。同時に、ジャーナリスト、研究者、学者、人権擁護者たちの活動基盤をも脅かしている。

ロシアの人々は長年にわたり不自由なインターネッに苦しめられてきた。さらにウクライナ侵攻以降には戦時検閲が進み、状況は悪化の一途を辿っている。ロシア政府はまた、デジタルプラットフォームにロシアの市民社会コンテンツを削除するよう圧力をかけ続け、独立系メディアのウェブサイト、ソーシャルメディアプラットフォーム、ロシアおよび国際的な人権団体へのアクセスをブロッキングしている。

AppleはVPNをApp Storeから排除することで、開かれた社会と情報・表現の自由の重要性を謳う自社の理念を自ら踏みにじった。Appleは自らの行動がもたらす深刻な影響を直視し、即座に軌道修正しなければならない。さもなければ、ロシア当局による市民社会への攻撃に加担する共犯者となるだろう。

サルキス・ダルビニャン – RKS Global

ビッグテックは権威主義的な命令にデジタル空間を譲り渡し、ロシアの人々の生命と自由を危険にさらしてはならない。Access Nowは、Appleに対し、ロシアのApp Storeから削除された全てのVPNサービスアプリを直ちに復活させること、そして国際人権基準に反するロシア当局からのいかなる要求や命令にも応じないよう強く求める。

オープンレターは英語またはロシア語で閲覧できる。

Apple must restore VPNs in Russia now – Access Now

Author: Access Now (CC BY 4.0)
Publication Date: September 2, 2024
Translation: heatwave_p2p

以下は、そのオープンレター「Runetの検閲を止めよ(Stop censoring Runet )」の英語版を翻訳したものである。

クック氏へ

我々、以下に署名する市民社会のメンバーは、Appleに対し、ロシア当局からのVPN(仮想プライベートネットワーク)アプリをロシアのApp Storeから削除するよう求める要請や命令に対して、透明性のある断固とした行動を取るよう要請します。

我々の知る限り、Appleは2024年7月4日、ロシアのApp StoreからRed Shield VPN、Le VPN、HideMyName、PlanetVPN、AdGuard VPNなど、人気のVPNアプリを削除しました

AppleのアプリレビューチームがVPNサービスプロバイダーに送付した書簡によると、この決定はロシアの検閲機関(ロスコムナゾール)の要求に応じてなされたものです。しかし、Appleは「情報が自由に流れる開かれた社会の重要性」を認識し、「ユーザのプライバシーと並んで、情報と表現の自由への我々のコミットメントがある」と述べる自社の基準とポリシーから逸脱した理由を説明していません。その代わりに、自由なインターネットを侵食する権威主義的政府の要求に屈し、自社サービスを利用する人々の情報と表現の自由に関する権利を無視しています。

Freedom House国境なき記者団(RSF)の報告によると、ロシアはインターネットの自由度指数で最悪のカテゴリーに位置し、「不自由なインターネット」を有しています。ロスコムスヴォボダとOONIによる共同調査でも、ロシアのウクライナ侵攻開始から1年間で、何千ものインターネットリソースが戦時検閲の対象となったことが確認されています。2022年3月以降、当局は独立系メディアのウェブサイト、X、Instagram、Facebook、YouTubeなどのソーシャルメディアプラットフォーム、さらにはHuman Rights Watch、Amnesty International、RSF、モスクワ・ヘルシンキ・グループなどのロシア国内外の人権団体のオンラインリソースへのアクセスを遮断しています。

現在、VPN技術をベースとしたツールは、ロシアの人々がオンラインを維持し、広範なオンライン検閲を回避して独立した情報にアクセスするための最も効果的な手段の一つとなっています。

デジタル独裁下で生きるロシアの人々にとって、App Storeは単なるアプリケーションストアではありません。独立系メディア、VPNサービス開発者、市民社会活動家らが開発したVPNアプリケーションを通じて、自由で独立した情報にアクセスできる唯一の窓口なのです。

さらに、App Storeから削除されたVPNの中には、ロシア当局がディープ・パケット・インスペクション(DPI)を用いて執拗に遮断を試みる中でも、ロシアの人々がサービスを利用できるよう尽力してきたものもあります。残念ながら、Appleのこの軽率な決定は、情報の自由とプライバシーの権利を守るために活動家、開発者、ジャーナリストらが取ってきた行動を無に帰してしまいました。

これらのVPNアプリを削除することで、Appleはロシアの検閲当局がロシアのオンライン空間(Runet)における情報を統制しやすくしたのです。

Appleは直ちにこれらのVPNアプリをロシアのApp Storeに復活させるべきです。また、国際人権基準に違反するロシア当局からの要請や命令に従うべきではありません。

我々は、こうした要請が自社のポリシーや基準に適合しているかどうかをAppleが十分に検証していないことに危機感を覚えています。そうしないことで、人権擁護者や反戦の声、そして何千人もの独立系ジャーナリストを沈黙させようとするロシアの検閲者の企てに加担しているのです。

ロシアの情報法に基づくロスコムナゾールのブロッキング要請は、Appleの原則にも国際人権基準にも反しています。欧州人権裁判所(ECtHR)は、Kablis対ロシアOOO Flavus他対ロシアBulgakov対ロシアEngels対ロシアVladimir Kharitonov対ロシアの各事件で、情報へのアクセスを制限するために用いられるロシアの法規範が非常に曖昧で、欧州人権条約と両立しないと繰り返し判断しています。ロシア当局の要求とそれに続く行動を具体的に評価する中で、裁判所は以下のように結論づけました。要求は恣意的であり、「オンライン情報へのアクセス技術に関する情報を、過激主義的資料へのアクセスを偶発的に容易にする可能性があるという理由で抑制することは、そうした資料の複製に使用される可能性があるという理由でプリンターやコピー機へのアクセスを制限しようとすることと何ら変わらない」と指摘しています。さらに、「そうした技術に関する情報をブロックすることは、それらの技術を使用してアクセスできるあらゆるコンテンツへのアクセスを妨げることになる」と述べています。

裁判所はまた、フィルター回避技術を単に過激主義的コンテンツを悪意を持って探すためのツールとして見なすことはできないと指摘しました。どのような情報技術も民主主義の原則と相容れない活動に利用される可能性がありますが、フィルター回避技術には、リモートサーバへのセキュアな接続を可能にしたり、ページの読み込み時間を短縮するためにデータをより高速なサーバを経由させたりするなど、多くの正当な用途があります。

国連人権委員会も、ロシアで何千ものウェブサイトやリソース、さらには多くのソーシャルメディアプラットフォームがブロックされているとの報告に懸念を表明し、表現の自由を不当に制限するすべての法律を早急に撤廃するよう求めています。さらに、Appleが遵守を約束している国連ビジネスと人権に関する指導原則は、企業に対し、他者の人権を侵害することを回避し、自社の活動に起因するあらゆる人権への悪影響に対処することを求めています。

我々は、貴社のプラットフォームに関する決定を下す際に、これらの重要な人権問題を考慮に入れるよう求めます。国際的および地域的な人権基準に違反する、言論を検閲・抑圧するために用いられる法律に従うよう要請された際に、Appleが直面する課題を我々は認識しています。この問題は以前、中国でのアプリ削除に関連してAppleに提起されたことがあります。しかし、Appleにはロシア当局の検閲の試みに対抗し、人々の権利を守るための十分なツールがあると我々は確信しています。Googleは現在、VPNアプリをGoogle Play Storeから削除するようロスコムナゾールから要求されていますが、これに抵抗しています。Appleもその例に倣うべきです。

我々は貴社に対し、すべての遮断命令と要請を国際人権基準への適合性という観点から評価し、保護された表現やサービス(アプリケーション)へのアクセスを制限するものには応じないよう強く求めます。そして、あらゆる可能な手段を用いてそれらの合法性に異議を唱えるべきです。

我々は貴社に対し、権威主義的なロシア政府による言論の自由を抑圧する試みに屈することなく、ロシアのApp Storeで遮断されたすべてのVPNサービスを復活させるよう要請します。

この問題へのご対応に感謝します。我々は、貴社の製品やサービスを利用する人々にとって最善の解決策を見出すため、協力する用意があります。

署名

組織

  • Access Now
  • Amnezia VPN
  • BlancVPN
  • Board of the Civil Society Forum
  • Committee to Protect Journalists
  • Electronic Frontier Foundation
  • Eurasian Digital Foundation
  • GreatFire
  • HidemyName VPN
  • Human Constanta
  • Human Rights Watch
  • Le VPN
  • Majal
  • Mass Media Defence Centre
  • Mediazona (zona.media)
  • Net Freedom
  • NA SVYAZI
  • OVD-info
  • Pervyi Otdel (First Department)
  • Proton
  • Red Shield VPN
  • Reporters Without Borders (RSF)
  • RKS Global
  • Roskomsvoboda
  • Teplitsa (te-st.org)
  • And three organizations that chose to stay anonymous

個人

  • Alexander Plushev, journalist, YouTube Channel “Breakfast show”
  • Dmitry Kolezev, journalist
  • Ekaterina Martynova, publisher of DOXA
  • Galina Arapova, media lawyer, founder Mass Media Defence Centre
  • Ivan Pavlov, founder of Team 29 and First Department
  • Katya Arenina, correspondent of Proekt
  • Ksenia Ermoshina, Senior researcher at the Citizen Lab and eQualit.ie
  • Maxim Katz, politician and youtuber
  • Oleg Grigorenko, Editor in Chief of 7×7 Horizontal Russia
  • Pavel Kanygin, CEO at Prodolzhenie Sleduet Media
  • Roman Dobrokhotov, chief editor The Insider
  • Ruslan Daiyrbekov, Eurasian Digital Foundation
  • Sarkis Darbinyan, cyberlawyer, founder of Roskomsvoboda
  • Sergey Lukashevskiy, Editor in Chief of Radio Sakharov
  • Taisiya Bekbulatova, Editor-in-Chief Holod
  • Zhanna Nemtsova, founder of Boris Nemtsov Foundation

Open letter to Apple: Stop censoring Runet

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