絶縁抵抗測定は、電気設備の安全性を確保するための非常に重要な作業です。
この測定を誤ると、重大な事故を引き起こす可能性があるため、慎重に行う必要があります。
本記事では、絶縁抵抗測定で絶対に避けるべきポイントと、500Vで測定する理由について詳しく解説します。
【太陽光(ストリング)の絶縁抵抗計測】
P(+)側から測定を行う。不良だった場合、N(−)側を測定してはいけない。なぜなら劣化しているストリングのN(−)側を測定すればバイパスダイオードに対して逆向きの電圧が印加され、半導体素子の損傷の恐れがあるため。 pic.twitter.com/F28HXJYJkO— 電気管理技術者見習い@独立1年目 (@KangiApprentice) July 30, 2023
読者の皆さんが安全に、そして確実に測定を行うための知識を提供しますので、ぜひ参考にしてください。
絶縁抵抗測定でやってはいけないこと
絶縁抵抗測定は、安全性を確認するために必須の手順ですが、いくつかの注意点を守らなければ正確な結果を得られません。
さらに、誤った方法で測定を行うと非常に危険です。
ここでは、絶縁抵抗測定で避けるべき具体的なポイントについて詳しく説明します。
活線状態で測定しない
製品紹介50:絶縁抵抗計 MG500
IP54の防塵防滴対応の125V/250V/500V印加電圧(4000MΩ)の3レンジ絶縁抵抗計です。
絶縁測定時に活線状態の場合、警告が鳴るので誤った測定をしないで済みます。
絶縁測定以外にもDCV/ACV600Vの電圧測定が可能なので事前に活線チェックも可能です。 pic.twitter.com/l1315PWepX— 三和電気計器株式会社(sanwa) (@sanwa_meter) September 8, 2023
絶縁抵抗測定を行う際に、活線状態での測定は絶対に避けるべきです。
活線状態とは、電気が通っている状態のことを指します。
この状態で測定を行うと、測定器や作業者に高い電圧がかかり、感電や機器の損傷を引き起こす可能性があります。
例えば、住宅の分電盤で測定を行う場合、必ず主幹ブレーカーをオフにして電気が流れていないことを確認しましょう。
電源を切ることで、安全な状態で測定を行うことができます。
適切なレンジを選ばない
<使用上の注意>
絶縁抵抗測定では、被測定回路の使用電圧に近い定格測定電圧の絶縁抵抗計で測定して下さい。
<例>100 Vの電路では定格測定電圧125 Vレンジを用いる。
絶縁抵抗測定には高電圧が発生し、耐電圧の低い機器や部品が接続されている電路だと故障の原因になります。 pic.twitter.com/EHvftnT7f1— 三和電気計器株式会社(sanwa) (@sanwa_meter) September 8, 2021
測定器のレンジ設定は非常に重要です。
例えば、測定器には通常、100V、250V、500Vなどのレンジがあります。
低いレンジを選んでしまうと、実際の絶縁抵抗値が高すぎて測定器が正確な値を示さない場合があります。
逆に、高いレンジを選ぶと、微細な変動や劣化が見逃されることがあります。
このため、測定対象の電圧に合わせた適切なレンジを選ぶことが必要です。
工場の配電盤やビルのメインブレーカーなどの大規模な設備では特に注意が必要です。
バッテリーのチェックを怠る
高電圧絶縁抵抗計のバッテリーを交換したら無事使用することができました。
このタイプは今では製造中止になっていますが私が若い頃バリバリ現役で使用していたおかげで操作は身体が覚えていました。
ぜひ使用してみて各機器の絶縁を測定してみてください。 pic.twitter.com/J93ob2WCeI— あきら@電気主任技術者系行政書士 (@ttusin) July 19, 2020
絶縁抵抗測定器は、多くの場合バッテリーで動作します。
バッテリーが十分に充電されていないと、正確な測定が行えません。
例えば、測定器のバッテリーが切れかけていると、表示が不安定になったり、途中で電源が切れたりすることがあります。
これを防ぐために、測定前には必ずバッテリー残量を確認し、必要に応じて交換や充電を行いましょう。
また、予備のバッテリーを用意しておくこともおすすめです。
放電を忘れる
高圧コンデンサ内蔵の放電抵抗
絶縁抵抗計125Vレンジで測定すれば
どれぐらいか分かる。(電荷を必ず放電)
ただし2端子なので直読ではないことに注意放電抵抗の値知らない人が多い
メーカーに聞く→現場で測定して試してみるいろいろやるとなかなか忘れなくなる
5~10MΩぐらいのはず— 電力設備メンテナンスチーム 継電器2課 課長代理 サブアカです (@denkenlabo6600) June 13, 2024
測定が終了した後、測定対象や測定器に残留電荷が残っていることがあります。
これをそのままにしておくと、次に触れた人が感電する危険性があります。
例えば、コンデンサーや大型のモーターなど、電荷が溜まりやすい機器では特に注意が必要です。
測定が終わったら必ず放電作業を行い、安全を確保してください。
具体的には、測定器の放電機能を使用したり、適切な放電用工具を使って残留電荷を取り除きます。
500Vで絶縁抵抗測定を行う理由とは?
絶縁抵抗測定では、500Vでの測定電圧も行われます。
絶縁抵抗500Vで何の回路を測定したんだろ?気になる所。 https://t.co/GuXSoWxWtm
— むぎみ (@guRbtVFEstKD8Fi) June 18, 2024
なぜこの電圧が選ばれるのでしょうか?
ここでは、500Vで測定を行う具体的な理由について解説します。
低圧電路の標準測定電圧
長年弊社ご愛顧頂きありがとうございます。
電気自動車の整備用の印過電圧は500Vを使用することが多いので絶縁抵抗計での測定になります。
整備マニュアルをお持ちでしたらそちらを参照の上使用頂ければと思います。— 三和電気計器株式会社(sanwa) (@sanwa_meter) September 14, 2023
500Vは、低圧電路における標準的な測定電圧です。
家庭用電源や商業施設の配電システムなど、多くの電気設備がこの範囲に該当します。
500Vで測定することで、一般的な電気設備の安全性を確認しやすくなります。
例えば、家庭用のエアコンや洗濯機などの電化製品もこの範囲に含まれます。
この統一基準により、異なる設備間での比較が容易になり、メンテナンス計画が立てやすくなります。
絶縁劣化の早期発見
そうですね!!
コネクタのハンダ付けが終わったあとは
500Vを加圧して絶縁抵抗
テスターで芯線と網線の抵抗
両方を測定した後にダミーロードを取り付けてアナライザーでチェックすればコネクタ付け完了です。— ピカチュウ無線局JK1BKR-PIKACHU (@YokohamaPIKACHU) January 25, 2024
500Vでの測定は、絶縁劣化を早期に発見するためにも有効です。
低い電圧で測定すると、微細な絶縁劣化が見逃されることがあります。
500Vという高い電圧で測定することで、わずかな劣化も検出可能になります。
例えば、古い電線や長期間使用された機器などでは、経年劣化による絶縁低下が懸念されます。
高い電圧での測定により、これらの問題を早期に発見し、適切な対策を講じることができます。
絶縁抵抗測定の基本とは?
絶縁抵抗測定を正しく行うためには、基本的な手順と注意点を押さえておくことが重要です。
ここでは、測定前の準備、正しい測定手順、測定後の処理について詳しく解説します。
測定前の準備
今朝は配電盤の検査を実施しました。
内容は、絶縁抵抗測定、保護リレー試験で、限られた停電時間内で要領よくこなすには事前準備が大事だなと改めて思いました。
保護リレー試験は図面を確認して確実に配線するのが大事ですね。— ぼた@電験アカ (@Hoffnung_Licht) March 3, 2023
測定を開始する前には、以下の準備を行うことが必要です。
- 測定器の点検:測定器が正常に動作するか確認します。
- 具体的には、電源を入れて表示が正しく行われるか、各スイッチやボタンが正常に機能するかチェックします。
- バッテリーチェック:バッテリーが十分に充電されているか確認します。
- 対象物の電源オフ:測定対象の電源が切れていることを確認します。
- 家庭の配電盤であれば、主幹ブレーカーをオフにするなどして電源を完全に切ります。
- 安全確認:周囲の安全を確保し、感電や事故のリスクを排除します。
特に湿気の多い場所や狭い場所での作業は注意が必要です。
正しい測定手順
消防設備も絶縁抵抗試験やるみたいで、そこで今まで謎だったところ分かった!
テキストで大地間測定の流れについて、回路配線→地絡点→大地→受信機アース→絶縁抵抗計へと微電流が流れると。
線間測定は分かりやすかったけど大地間はなんでこれで測定になるのか分からんかったのでやった!\(^o^)/ pic.twitter.com/hirYRj1mIc— 艦齢善戦 (@UjHVRLGOLfqtUxK) March 27, 2024
測定を行う際には、以下の手順に従います。
測定器の接続:測定対象に測定器を正しく接続します。
例えば、配電盤の各端子にプローブをしっかりと接続します。
- レンジの設定:適切なレンジを選びます。家庭用の配電盤なら500Vレンジが適切です。
- 測定の実施:測定ボタンを押し、絶縁抵抗値を読み取ります。測定値が安定するまで待ち、正確な数値を確認します。
- 記録:測定結果を記録し、次回以降の参考にします。具体的な測定値や日付、測定場所などを詳細に記録することが重要です。
測定後の処理
#水トリー現象 などで
絶縁劣化(絶縁体破壊)した6600ボルト用
高圧ケーブルを
5000ボルト メガ(高圧絶縁抵抗計)で測定すると、
絶縁不良部で、パチパチ放電して、
こんな風に、
キック現象が起こります。ケーブル単体の、絶縁抵抗測定では、
1000Vメガではなく5000Vを推奨。#電気管理技術者 https://t.co/JKb8q5xQNa— 木谷 茂(Shigeru KITANI) (@skaterkeme) October 1, 2022
測定が終了したら、以下の処理を行います。
- 放電:測定対象に残留電荷がないか確認し、必要に応じて放電します。コンデンサーなどは特に放電を忘れずに行います。
- 機器の整理:測定器を片付け、次回使用の準備をします。例えば、プローブを収納し、測定器の電源をオフにして保管します。
- 結果の確認:記録した測定結果を再確認し、測定値が規定値内であることを確認します。
異常があれば、速やかに対策を講じることが重要です。
まとめ
せっかくなので動画撮ってみました
絶縁抵抗測定から耐圧試験の流れが素晴らしいですのでぜひ見てください https://t.co/vydFtO0jyY pic.twitter.com/H3hJXO71WE— 鈴和さん┃電気保安法人と社会福祉法人の代表 (@toolmafia) April 7, 2023
絶縁抵抗測定は電気設備の安全を確保するために欠かせない作業です。
活線状態での測定を避ける、適切なレンジを選ぶ、バッテリーのチェックを怠らない、放電を忘れないといった基本的な注意点を守ることが重要です。
また、500Vでの測定は、低圧電路の標準測定電圧として、絶縁劣化の早期発見や適正な判定基準の確保に役立ちます。
正しい手順と注意点を押さえて、確実に測定を行いましょう。
これにより、安全な作業環境を維持し、電気設備の長寿命化を図ることができるでしょう。